現在、自分はロースクールにて、国際環境法を専攻しているのですが、さて、環境問題への取り組みについて、アメリカや世界が、日本をどのように見ているのか、というお話。
アメリカに来た方が、ほぼ間違いなく感じるであろうことは、この国の、いかに資源とエネルギーのムダ遣いの多いことか。
「ゴミの分別なんて知ったことか!」とばかり、いつでも何でも捨て放題(電池とか電化製品ぐらい分別しようよ)、「省エネ? 何それ食べられるの?」ってな感じでエアコンはガンガン効きまくり(夏は寒すぎてパーカー等の上着は必須)で電気は基本点けっぱなし。
ニューオーリンズはまあ仕方ないとしても、首都たるDCでも全く同じ状況とは、一体どういうことか。
日本で「分別めんどくせー、っていうかペットボトルも回収してくれ、あと月2回しか回収しないとか勘弁。」とか、「クールビス暑くてマジ死ぬっす。倒れたら裁判所に訴えてやる」(こら)とか、色々していた苦労がむなしくなってきます。
もちろん、まだまだ日本には改善の余地がある問題(国立公園とか大気とか水質とか)はありますし(他方、アメリカの国立公園は世界に冠たるレベルを誇ります)、アメリカのNGO活動の多彩さ、強力さは日本の比ではないにしても、まあ、少なくとも、3R(リユース・リデュース・リサイクル)の推進や温暖化対策の観点からは、アメリカ全体よりも日本の方が、断じて実態上も法体系上も進んでいるのは間違いない。
が、どうも去年・今年と、アメリカ環境法や国際環境法の授業を受けていて、日本が登場してくる場面といえば、
〇世界史上最大の被害をもたらした公害(MINAMATA)を引き起こした日本
〇IWC(国際捕鯨委員会)の警告を無視して捕鯨を続ける日本
〇マグロなどの海洋資源を乱獲して絶滅に追い込む日本
〇ワシントン条約で禁止された象牙を輸入する日本
〇放射性廃棄物を海上輸送して周辺諸国に迷惑をかける日本
・・・これまでいいところ全くなしッ・・・!!
いや、ま、もちろん、最大の悪玉としては、圧倒的存在感で中国が君臨している訳ですが、日本もなかなかズル賢いヤツ、時代劇で言うところの「越後屋」ぐらいの地位は確立しているのではないかと。やったね!(いやいや)
アメリカなんて、京都議定書すら批准していないくせに生意気だぜ・・・と思いつつ、残念ながら、温暖化対策や化学物質対策においては、圧倒的にEUが先進的、というイメージが定着しており、野生生物の保護や国立公園の整備では、アメリカが一番進んでいる、という評価のようで(本当かどうかは別として)、悲しいかな、日本の良い評判が聞こえてきません。
実際のところ、一人当たりのCO2排出量は、ヨーロッパ諸国と同じか少ないぐらいですし(ちなみにアメリカは2倍。家庭ゴミの一人当たりの排出量も2倍。少しは自重しろ。)、産業部門の省エネ効率を見ても、日本が世界最先端のはずなのですが、そういった点は全く触れられていません。
ちなみに、国際交渉の経緯の記述のパターンも大体決まっていまして、
「EU(又はアメリカ)は環境保全のために高い目標をもって臨んだ」
↓
「先進国同士(EU対アメリカ)、あるいは途上国との間で激しい議論が繰り広げられた」
↓
「最終的に妥協が成立して、条約が採択された。
こうして環境法の歴史がまた1ページ刻まれたのだった」
↓
「ちなみに、日本とかロシアも、渋々ながら最終的に受諾した。(先進国なのに困ったヤツらだ!)」
日本なんておまけに過ぎんのですよ。しかもロシアと同列扱いという・・・。悲しいけど、これって現実なのよね・・・。
だからといって、「日本の外交力は軟弱軟弱軟弱ぅぅ~」とか、「EUを見習って、高い目標を積極的に打ち出さないのがいけない。だからお前はダメなのだ!」などと言いたいわけではなく。
留意すべきは、西ヨーロッパ諸国は、製造業から金融業に経済の中心をシフトしているため、温暖化対策等に代表される、製造業に対する規制によって、経済が受ける影響は比較的少ないという点でしょう。
一方、依然としてモノづくりが経済の中心である日本において、EU並みの規制を製造業に課するのは、経済的により不利に働くことは否定できないと思われます。
また、もともと日本は、アメリカほどの資源浪費型の生活を送っていないので、エネルギーや資源を節約するにも、切りしろがより少ない訳です。
もちろん、ライフスタイルや経済構造について、まだまだ色々と改善の余地が残っているのは間違いないにしても、日本の家庭や企業の皆さんが頑張って努力していることが、世界的に全く評価されていないのは、正直なところ悲しく、アメリカ人の生活を見ていると、「地球のためにクールビズ!」といって、クソ暑い中仕事をしていたのが空しくなってきます。
いえいえ、もちろん、クールビズ止めようよ、なんてこと言えるわけ、もとい言うわけないじゃないですか。クールビズはスバラシイデスヨ? くーるびずバンザイ!!
ええとですね、結局何が言いたいかと申しますと、条約や議定書といった、形として残る、見えやすいものと比べ、国内の技術的や国民運動的な努力は、残念ながら国際的に非常に見えにくく、評価されにくい。
また、そもそも日本のフォアキャスティングアプローチ(まず、実現可能性の高い政策を積み上げてから目標を設定するアプローチ)は、EUのようなバックキャスティングアプローチ(まず、目標を先に設定して後から手法を発見していくアプローチ)と比べ、どうしても見劣りする。
となると、日本が「環境立国」として、国際社会で環境をメシのタネにして食べていきたいのであれば、これまでの日本のアプローチ(実現可能性の高い、けれどもあまり意欲的でない目標を提示し、なるべく交渉を続け、最後に妥協する。)を放棄して、EUのような、一見「野心的に過ぎる」とも見えるような高い目標を国際社会に積極的に訴える必要があります。
他方で、あくまでものづくり立国として経済成長を図ろうとするのであれば、EUのアプローチとは距離を置いて、アメリカや中国といった、比較的製造業が経済の中心である国々と連携し、産業構造の違いを踏まえた枠組み作りを訴えていくことが考えられます。
無論、両者は両立し得ないものではなく、長期的には統合が可能になると思いますが、化学物質規制などに代表される、EUのようなある意味(リスク逓減の限界効用を無視した)過激な環境規制は、短期的にはやはり製造業に多大な負担をもたらすでしょう。
なお、気候変動問題に例えて言えば、前者の例はまさに鳩山首相の「2020年までに90年比25%削減」であり、後者の例は、産業界が支持している「CO2セクター別削減アプローチ」が挙げられるかと思います。
現時点で鳩山構想をただちに評価するのは適切ではありませんが、国際環境問題、特に気候変動問題は、まさに経済・社会構造と表裏一体であり、果たして鳩山首相は、短・中・長期的な視点から、各国と日本の経済・社会構造の違いを十分に理解した上、25%削減が日本の未来に資する(世界の未来には資すると思いますが)と判断したのか。
どうも、「国際社会で目立ちたいYO! 環境に積極的なイメージっていいよね。EUが25%と言っているんなら、日本も25%だもんね!」的なノリで言ったように思えてならないのですが。いや、それは流石に政権政党に対して失礼ですね。きっと深謀遠慮があるに違いない・・・そう信じたい・・・。
長文でだらだらと失礼しました。ううむ、やはり自分は真面目な文章を書くには構成力が足りないな。
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